熊とヒグマは別であるように、梅雨明け前とは違う空なのか。

hdr

ヒグマは「羆」と書きます。熊のうえにヨンガシラを乗せているように、熊に似て非なるものなんですが、見たことのない本州の人間からすると「大きな熊」に思っちゃいます。5万年以上も前、北海道の海が12メートルも浅くて、その頃に大陸から渡って来たヒグマの祖先。中国語の発音では熊は「シォン」、ヒグマは「ピ」というらしい。まったく似てない。

成獣のヒグマは皮膚がガチガチに厚くて、散弾銃で撃つ散弾(しかも北海道では鉛弾禁止のため銅弾)ぐらいでは太刀打ちできない。散弾銃の一発弾(スラッグ)という特殊な攻撃方法がとられる。それでもチャンスは数秒。急所をはずすや死に物狂いで反撃される。伏せ撃ちでスコープを覗く猟師。つかの間の静寂、銃声、野太い咆哮。

仕留めた猟師が皮をさばき、塩を塗り込み、タンナー(なめし工程の職人)へとつなぐ。「革」となったヒグマの外皮は工芸士である革職人へ。マタギから生活の道具へ、装飾品へ。命を、暮らしの文化へつなぐ人々の思いが連綿と続いてきたのです。では、また。